アラブ連盟(22カ国・機構)は4日、エジプトの首都カイロで緊急首脳会議を開き、コミュニケを発表した。会議ではイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘で荒廃したパレスチナ自治区ガザに関し、エジプトが策定した再建計画が承認された。ただ、不透明な要素が多く、実現するかは見通せない。
会議はトランプ米大統領が2月上旬、ガザから住民全員をエジプトやヨルダンに移住させ、米国が所有するとの構想を発表したのを受け、対抗策を協議するために開かれた。
英字紙デーリーニュース・エジプト(電子版)が報じたコミュニケによると、首脳らはエジプト案に基づいてガザ住民の域外移住を拒否し、パレスチナ国家を建設してイスラエルと共存する「2国家解決」の実現を支持するとした。
トランプ氏の住民移住構想を正面から否定した形で、米政権が受け入れるかどうかは不明。イスラエルは4日、「ハマスの悪質なテロ攻撃に言及していない」などとし、現実を反映していないと一蹴した。
コミュニケはこのほか、ガザの専門家で組織する行政委員会が暫定統治を担い、パレスチナ自治政府による統治の再開に備えるとした。国際的な平和維持部隊の派遣を求め、エジプトとヨルダンがガザの警官を訓練する方針も示した。
コミュニケはハマスには言及していない。ロイター通信によると、地域大国サウジアラビアやエジプトは、ハマスがガザへの影響力を保持したままだと米イスラエルが反発すると懸念している。半面、ハマスが武装解除や実効支配の権限放棄にすんなり応じることも考えづらい。
エジプトは5年間で総額530億ドル(約7兆9千億円)の復興資金が必要だと積算したが、戦後のガザ統治にハマスの影がちらつくようなら、国際社会から復興資金を集められるかにも疑問符が付く。
会議にはパレスチナ自治政府のアッバス議長や国連のグテレス事務総長らも参加した。
原文出處 產經新聞