野球の国際大会「ラグザス プレミア12」(読売新聞社など協賛)で日本代表「侍ジャパン」は24日、決勝で台湾に0―4で敗れ、連覇はならなかった。台湾は初優勝。侍ジャパンは五回に先発の戸郷が2本のホームランで4点を先行され、打線はわずか4安打、六回以降は1安打で台湾の投手陣に屈した。第1回プレミア12などで日本代表の投手コーチを務めた鹿取義隆さん(元巨人、西武)の解説を交えて詳報する。
侍打線、わずか4安打で終戦…「若武者」4番森下翔太も走者置いて音なし
台湾 000 040 000=4
日本 000 000 00X=0
データと実際の感覚との差を埋めきれなかった
鹿取の目 「日本は九回に大勢が登板。ここはもう彼でいくしかない。攻撃に期待をかけたが最後はいい当たりが野手の正面をついて併殺でゲームセット。日本は4安打で敗れた。台湾の4投手はそれぞれが持ち味を発揮した。先発は荒れ球で打者が踏み込んでいけず、2番手は変化球がよく、3番手には気迫で押され、4番手にはスライダーを軸にバランスよくかわされた。日本の打者が持っていたデータと、打席に立った時の実際の感覚との差を最後まで埋めきれなかった」
▽九回裏、台湾は抑えの林凱威が登板。日本は先頭の辰己が右前打。一死後、栗原の一塁ライナーで併殺となり試合終了。
▽九回表、日本は4番手の大勢が登板。二死から陳傑憲に左前打も、追加点は許さず。
▽八回裏、日本は、この回から登板した台湾の3番手の左腕・元ロッテの陳冠宇の前に三者凡退。
元オリックスの張奕が3回無失点
▽八回表、日本は3番手の藤平が登板、いきなり江坤宇に左中間二塁打を許し、内野ゴロで一死三塁のピンチもしのいで無失点。
▽七回裏、日本は3イニング目の張奕の前に三者凡退。
鹿取の目 「台湾2番手の張奕は、オリックスや西武でもプレーしていた投手。もともと真っすぐは速かったが、変化球がよくなかった。しかし。きょうは変化球も決まっている。七回はバッテリーの油断でダブルスチールを許してピンチを招いた日本だが、本塁打性の飛球と内野ゴロの一塁判定の2つのビデオ検証で救われ、日本にはまだまだ運が向いている。そろそろ反撃が見たい」
微妙な判定相次ぐ
力投する2番手の隅田(24日)=後藤嘉信撮影
▽七回表、台湾は陳晨威と林立の連打で無死一、二塁とし一死後、重盗で二、三塁。林安可の右翼ポール付近の大飛球はビデオ検証の結果、ファールと判定され、その後三振。続く潘傑楷の遊撃へのゴロはいったんはセーフと判定されたが、日本側はビデオ判定(チャレンジ)を求め、判定が覆ってアウト。(→2度のビデオ検証の救われる日本の詳細は こちら )台湾は結局、無得点。
▽六回裏、日本は三者凡退。
▽六回表、日本は左腕・隅田に継投、三者連続空振り三振の快投を見せる。
▽五回裏、台湾は元オリックスの右腕・張奕が登板。日本は二死から、坂倉、桑原が連打するも、小園が一ゴロに倒れた。
最も調子のいい打者にうまく打たれた
鹿取の目 「戸郷が2発を浴びた。ともにストレートを打たれた。最初の当たりは、真っすぐしか待っていないところでドンピシャのタイミング。2本目はフルカウントからファウルで粘られ、最後はフォークと思っていた相手の裏をかいたが、打者は真っすぐを待っていたようだ。決してやさしいホームランボールではなかったが、台湾打線で最も調子のいい打者にうまく打たれた」
5回無死、林家正が先制のソロを放ち、ベンチ前で盛り上がる台湾の選手たち(24日)=片岡航希撮影
▽五回表、台湾は先頭の林家正が右中間スタンドに先制ソロホームラン。さらに安打と四球で一死一、二塁とし、陳傑憲が右翼席に3ランホームランで突き放す。(→伏兵と絶好調男の1発は こちら )(→台湾の3番打者、高校時代は岡山でもプレーは こちら )
鹿取の目 「林昱珉は日本の右打者に対してチェンジアップが有効だ。左打者に対しては今のところ、外のスライダーと内角の速球の攻めだが、こちらの方が比較的、的を絞りやすく、6人を並べた左打者が攻略の糸口をつかめるか。ただし、コントロールが良くないので、どこまで踏み込んで打てるか」
▽四回裏、日本は先頭の辰己が四球も、走者を進めることも出来ず無得点。
▽四回表、台湾は二死から、江坤宇が左前打も後続なし。
源田がチーム初安打
3回無死、内野安打を放つ源田(24日)=片岡航希撮影
▽三回裏、日本は先頭の源田がチーム初安打となるピッチャー強襲ヒット。一死後、坂倉は四球で一、二塁とするが、後続を断たれた。
▽三回表、台湾は二死から陳晨威が四球、林立が右前打で一、三塁もあと1本が出ず。(→戸郷、序盤の奮闘ぶりは こちら )
▽二回裏、日本は三者凡退。
▽二回表、台湾は三者凡退。
鹿取の目 「台湾の先発、林昱珉は球に勢いがあり、腕がよく振れているので、打者は嫌だろう。ただし、コントロールはあまりよくない。登板した時のデータと、打席に立った時の実際の感じの見極めが必要で、様子見になる」
▽一回裏、日本は三者凡退。
▽一回表、戸郷は二死から陳傑憲に左中間二塁打を許したが、後続を断った。
鹿取の目 「今大会はこれで台湾とは3度目の対戦。しかも前日に続いての連戦となった。試合前には相手のデータの洗い直しをして臨むぐらいだろう。台湾は日本に対して失うものは何もない。投打に思い切ってくるだろう。台湾の上位打線はどの選手も今大会本塁打を打っている。戸郷は甘いフォークで本塁打を浴びないよう、注意したい」
原文出處 讀賣新聞