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海保、国民保護の特殊標章を常備 近く共同実動訓練

武力攻撃事態の際に防衛相が海上保安庁を統制下に置く「統制要領」を踏まえ、海保が国際法に基づく国民保護の特殊標章を巡視船や航空機に常備する方針を固めたことが20日、政府関係者への取材で分かった。海上自衛隊と海保は近く、統制要領を想定した初の共同実動訓練を実施し、艦船や巡視船などを実際に展開して特殊標章の実効性や情報伝達の手順などを確認する方針。有事の際、住民輸送などに当たる海保の巡視船や航空機などに特殊標章を掲げ、相手国から標的とみなされないようにする。

特殊標章は国際人道法(戦時国際法)の柱であるジュネーブ条約に基づき、国民保護の任務に従事する場合、オレンジ色地に青色の正三角形のマークを掲げる。政府関係者によると、非戦闘地域で住民輸送などに当たる巡視船などに特殊標章を掲げることで、海保の非軍事性を相手国に示す狙いがあるという。

政府が今年4月に策定した統制要領では、防衛相による統制下でも警察機関として従来通りの活動を行い、住民の避難や救難のほか、港湾施設の治安維持などに当たる。ただ、周辺の非戦闘地域で負傷した自衛官を救助する際、相手国から戦闘行為の一環とみなされる恐れもあるため、国民保護の特殊標章を巡視船艇や航空機に常備し、有事に即応できるようにした。

近く実施される共同実動訓練を踏まえ、海保の巡視船や航空機などに掲示する特殊標章の大きさや材質を検討する。有事の際は、住民の避難所などにも特殊標章を掲示するとしている。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺では、中国海警局が軍艦を改修した大型船を追加配備し、武装強化を図っている。海自と海保は5月末、統制要領を想定しオンラインの机上訓練を初めて実施していた。

原文出處 產經新聞